10月の米雇用と賃金、伸び鈍化の可能性ーＦＯＭＣは金利据え置きか

2023年10月30日 12:39 JST

非農業部門雇用者数、前月比19万人増に鈍化の見込み

平均時給は過去２年で最も鈍い伸びか、米利上げ見送り見極めへ

10月の米雇用者数は前月の大幅な伸びからは鈍化した可能性があるものの、米景気拡大の原動力となるにふさわしい底堅さを示すとみられる。

11月３日に発表される10月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比19万人の増加が見込まれており、過去３カ月間の大幅増に続いて依然として堅固な伸びとなったもようだ。平均時給は労働参加率の上昇を一因に、前年同月比の伸びが過去２年余りで最も鈍いペースになったと予想される。

インフレ圧力が徐々に弱まる中、底堅い労働市場が個人消費と経済成長を維持することに貢献してきた。雇用の安定はエコノミストの楽観的見通しにもつながっており、６月以降は景気後退観測も和らいでいる。

US Job Growth Seen Moderating in October

Expected increase still viewed consistent with robust labor market

Source: Bureau of Labor Statistics, Bloomberg

その他、31日に発表される７－９月（第３四半期）の雇用コスト指数は、賃金の伸び鈍化の兆候を見極める上で注目材料だ。雇用主側のコスト負担としては人件費が最も重く、賃金の伸び加速はインフレの高止まりを招くリスクになる。また、米労働生産性指数も、企業がコスト増に対応できているかどうかを見極める上で重要になる。

10月31日－11月１日には米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）会合が開かれる。給与の伸び鈍化などが確認されれば、２会合連続で政策金利が据え置かれるとの観測を裏付けることになるだろう。

Central Bank Rate Decisions This Week

Source: Bloomberg

Note: Mapped data show rate decision schedules for distinct central banks

週内には米供給管理協会（ＩＳＭ）が10月の製造業および非製造業の景況指数を発表するほか、注目度の高い日本銀行やイングランド銀行（英中央銀行）、ノルウェー中央銀行など各国中銀の金融政策決定会合も控えている。ユーロ圏の経済指標では、経済成長の失速やインフレ鈍化が示される可能性がある。