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概要:アマゾン社内のサイエンス、経済、金融分野を研究するチームが合同で作成した「2023年の経済見通し」に関する内部文書を、Insiderが独自入手しました。そこには「景気後退に」「部分的な免疫がある」との記述も……。
アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)。2022年は「徹底コスト削減」一色だったが……。
Dan DeLong/GeekWire
大半のエコノミスト、金融機関、シンクタンクが2023年内の景気後退入りを予想している状況だが、アマゾンの社内文書を読むと、同社は例外的に明るい見通しを抱いている模様だ。とりわけ、米経済については。
Insiderが独自に入手したアマゾン社内の11月のマクロ経済分析資料によれば、今後半年以内にアメリカが景気後退入りする確率は30%とされている。
同資料は、直近の統計データが堅調な雇用の伸びと賃金の上昇を示していることを踏まえ、米経済が景気後退入りを回避して低成長を続ける、いわゆるソフトランディングを想定する。
この分析結果は、大手金融機関など他の多くの予測とは全く対照的だ。
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ブルームバーグ・エコノミクス(Bloomberg Economics)の各種指標を用いた最新予測(10月17日付)によれば、アメリカが1年以内に景気後退入りする可能性は100%。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)のスタッフエコノミストによる11月の分析では、2023年中に景気後退入りする確率は50%程度とされた。
さらに、米ウォール・ストリート・ジャーナルが金融各社のエコノミストを対象に行った10月の調査では、平均値が63%だった。
アマゾンの内部資料にはこう記されている。
「米経済が複雑なシグナルを発し続けており、現時点では(まだ)景気後退には至っていないように見える。
FRBによる利上げサイクル継続の影響は遅れて労働市場に及んでくると思われるが、足元の動きはソフトランディングシナリオ(失業率のマイルドな上昇、入職率・離職率の減少、雇用消失率の上昇ほぼなし)と矛盾なく重なる」
アマゾンのサイエンス、経済、金融の研究チームが協働してまとめた12ページの社内報告書は、同社が景況をどう認識しているのかをうかがい知る貴重な資料だ。
アマゾンのアクティブなプライム会員(アメリカ国内)は1億6000万人超。これはInsiderインテリジェンスの推計によれば全米人口の62%に相当する数字で、その圧倒的なデータのおかげで同社は世界首位の経済大国の動向をかつてないほどリアルに把握できる【図表1】。
【図表1】アメリカのプライム会員の推移および今後の見通し(2022年5月時点)。
Chart: Andy Kiersz/Insider Source: eMarketer/Insider Intelligence
その比較的明るい経済見通しによれば、インフレの高止まり、着実な利上げ、地政学的緊張の長期化にもかかわらず、アメリカは深刻な景気後退を回避できるかもしれない。
Insiderは本記事の公開に先立って、12月20日にアマゾンの複数の広報担当にコメントを催促した。およそ48時間後の12月22日、記事公開後に以下のような返答が寄せられた。
「お尋ねの(社内から流出したとされる)資料は、経済とその動向に関する当社の立場を反映したものではありません。
最高財務責任者(CFO)のブライアン・オルサフスキーが直近の決算説明会で当社の見通しを明らかにするとともに、最高経営責任者(CEO)のアンディ・ジャシーも11月30日にニューヨーク・タイムズ主催の『ディールブック(DealBook)』年次サミットで彼なりの見方を語っています。
当該資料に反映された見方は、当社所属の一部のエコノミストのものにすぎません」
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景気後退に「部分的な免疫」
アマゾンは、アメリカ以外の地域では景気後退入りの可能性が高いと見ており、その確率はユーロ圏とイギリスで70%、世界経済全体では40%としている。
しかし、仮に景気後退入りして失業率が上昇する展開になっても、アマゾンとしては売り上げに大きな影響が出るとは考えていないようだ。
前出の内部資料によると、アマゾンの売上高の60%近くは「失業率の変化に対する感応度の低い」一定程度の安定収入のある層の購買行動によるもので、失業増の影響を受けやすい低所得者層の「売上全体に占める割合は小さく」、したがって同社は景気後退に対して「部分的に免疫を有する」という。
ただ、売上高の伸びの主要な原動力となっている新規の顧客を低所得者層が占めることから、資料は「景気後退がその層の支出に影響をもたらす可能性がある」とし、長期的な成長曲線へのネガティブインパクトを指摘する。
資料はまた、住宅ローン金利の上昇や住宅価格の下落による住宅市場の低迷が、家具やインテリア、電化製品など家庭用品の購入を含む家計の支出に「波及」する可能性があると警鐘も鳴らす。
また、アメリカのインフレ率(消費者物価指数の前年同月比伸び率)は2022年、7月の9.1%をピークに7〜9%台で推移したが、アマゾンは自社ECサイトでの販売価格をそこまで引き上げず、6%弱の上昇幅にとどまった。2023年の販売価格上昇率は3%を下回り、翌24年にはマイナスに転じると内部資料には記されている。
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成長が困難になる恐れ
一方、アマゾンはここ数カ月、複数の事業を中止し、万人単位の従業員をレイオフ(一時解雇)するなど、大規模なコスト削減を進めてきた。
Insiderが過去記事(10月13日付)で報じたように、ジャシーCEOは10月上旬に開催した全社会議で、「さらなる倹約を徹底」するよう、従業員に促している。
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「従業員の皆さんにとっても気になる問題だと思いますが、もちろん、何がどうなるのかは誰にも分かりません。ただ、米経済がこれから厳しくなることを示す兆候がいくつも見られることは確かです」(ジャシーCEO)
前出の内部資料によれば、2023年に米経済は「大幅に悪化」し、基本シナリオでもGDP成長率は1%を下回る想定。他の先進国についても似たような減速が予測されるという。
その背景的な論拠としては、世界経済の成長率が(2008年の世界金融危機および2020年のパンデミック発生直後を除き)2001年以降で最悪となると結論した、国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」10月改訂版が引用されている。
これらの事実から、アマゾンが成長と収益確保を同時に実現するのは難しくなる可能性がある。
内部資料は、今日に至るまでの経緯を踏まえて、ビジネスが成長を遂げる過程では利益率が縮小し、逆に利幅の拡大を狙う局面ではビジネスの成長が抑制されてきたと指摘する。その文脈に従えば、大幅なコスト削減(=利幅の確保)を進める現在の状況では、成長は難しいかもしれない。
「利益追求と成長との間にははっきりとしたトレードオフの関係があり、両者を同時に達成するのは難しい。より高い利益率を求めてコスト削減の側に振り子が行き過ぎると、近い将来もしくは中期的に、よりスピード感をもって成長を実現する能力が毀損(きそん)される恐れがある」
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