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概要:ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、2019年12月にそろってアルファベットのトップの座を退任しました。2人はその後まったく異なる人生を歩んでいますが、巨額の資産をもとに慈善活動を行っている点は共通しています。Insiderは2人の財団の税務文書を入手、グーグルの共同創業者2人がどんな団体にいくら寄付しているのかを明かします。
アルファベットの経営から身を引いたセルゲイ・ブリン(左)とラリー・ペイジ。現在は巨額の資産をもとにそれぞれが慈善活動を行っている。
Marianne Ayala/Insider
2021年、グーグルの共同創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、両者の慈善財団から合わせて5億ドル(約650億円、1ドル=130円換算)近くを寄付した。
しかしこの目玉が飛び出るほど莫大な金額の内訳をよく見ると、気前の良さという点では2人は共通しているものの、そのやり方には興味深い違いがあることが浮き彫りになる。
テック業界の大物からメディア界の有力者まで、現代のビリオネアのほとんどが、ヨット、事業投資、広大な不動産、そして慈善財団といった「基本セット」をいくつか所有している。慈善活動は、節税目的、名声の向上、そしてより良い世界をつくるという純然たる熱意など、富裕層にとってはさまざまな目的に役立つものだ。
ブリンとペイジは財団を設立し、年間数百万から数億ドルを寄付している。しかし2人は、2019年にグーグルとその持株会社アルファベット(Alphabet)から身を引いて以来、まったく異なる人生の道を歩んでいる。ブリンが比較的世間の注目を浴び続けているのとは対象的に、ペイジは私生活を秘密のベールの向こうに隠し通してきた。
今回Insiderが入手した税務文書からは、慈善活動の仕方に関してもペイジとブリンは好対照だということが明らかになった。
慈善活動のアプローチは対照的
ブリンの個人財団であるセルゲイ・ブリン・ファミリー財団(Sergey Brin Family Foundation)は、2020年と2021年に約2億5000万ドル(約325億円)ずつ支出している。
IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)に提出されたフォーム990(非営利団体に関する財務情報記載書)には、同財団が選んだ多数の寄付先が記されている。
2021年の寄付の最高額は、パーキンソン病に関する研究に投資を行うマイケル・J・フォックス財団(Michael J. Fox Foundation)に贈られた約1億100万ドル(約131億円)だった。ブリンの母親は1990年代にこの病気と診断され、ブリン自身もこの病気になる確率は五分五分だと推測している。
その他著名な寄付先として、気候変動危機に取り組むクライメート・ワークス財団(ClimateWorks Foundation)に750万ドル(約98億円)、ホームレスの人々を支援する非営利団体ライフムーブス(LifeMoves)に800万ドル(104億円)、全米疾病管理予防センター財団(National Foundation for the Centers for Disease Control and Prevention)に1530万ドル(約20億円)、さらに医療、環境、教育、人権関連の慈善活動が含まれる。
ブリンは近年、月への移住を提唱する非営利団体オープン・ルナ・ファウンデーション(Open Lunar Foundation)のような、一風変わった活動や組織にも関心を示している。
49歳のブリンも、こうした寄付の采配にかなり積極的な役割を果たしているようだ。資料によればブリンは週に約2時間、慈善組織の仕事に携わっている。財団が行った分に加えて、ブリンは1億3000万ドル(約169億円)をポケットマネーからマイケル・J・フォックス財団に直接寄付している。
Source: Carl Victor Page Memorial Foundation; Sergey Brin Family Foundation; Brin Wojcicki Foundation
これとは対照的に、ペイジが自身の財団であるカール・ビクター・ペイジ記念財団(Carl Victor Page Memorial Foundation)の活動に割いたのは、週にたった15分だ。
同団体は2021年に1億9600万ドル(約255億円)あまりの慈善支出を行ったが、そのうち慈善団体を選んで直接寄付されたのはわずか3万8894ドル(約505万円)にすぎない。
その団体とはシュー・ザ・フルー(Shoo the Flu)で、ペイジが数年にわたり資金提供し、インフルエンザ対策を行っている。残りの金額(総額の99%以上)の寄付先はたった1つ、ドナー・アドバイズド・ファンド(DAF:慈善活動用のファンド)であるナショナル・フィランソロピック・トラスト(National Philanthropic Trust)だ。
超富裕層に人気のあるDAFとは、寄付者が税控除の対象となる寄付を行い、その資金プールから慈善団体に長期的に分配するプライベート投資の手段である。税制上の優遇措置を維持するために毎年資金の5%を提供しなければならない私立財団が、その最低額を達成するための方法だ。
しかし、DAFはいつまでも資金が滞留する可能性があるため、慈善団体への寄付が遅延するおそれがある。またDAFの最終的な資金の分配先を、公に追跡する方法はない。ペイジはDAFを採用しており、2020年には自身の寄付総額の実に96%に当たる3134万4355ドル(約40億7500万円)をDAFに移している。
DAFを通さずに、自分の財団を通して直接寄付するという選択には、代償がついて回る。ファミリーオフィス(編集部注:超富裕層の資産管理を行う組織)であるアストン・パール(Aston Pearl)の創業者であるナターシャ・パール(Natasha Pearl)は、「自分名義の財団を通じて寄付をすれば機密保持が、また、DAFを通じて寄付をすればコントロールが、ある程度は犠牲になる」と話す。
DAFの利用はペイジのビジネススタイルに合致しており、寄付の詳細を見えづらくできる。ペイジはそれと引き換えに、資金へのコントロールを手放しているのだ。アメリカ屈指の規模を誇る資金援助機関、ナショナル・フィランソロピック・トラストへの寄付に関して、ペイジとその側近たちによるコントロールは助言にとどまり、法的な拘束力はない。
王国の内幕を覗く
両財団の書類からは、ペイジとブリンというグーグルの共同創業者2人のスタイルの違いが浮き彫りになるだけでなく、両者それぞれが誰に財産管理を任せているかも垣間見える。
カール・ビクター・ペイジ記念財団は、ペイジと妻のルシンダ・サウスワース(Lucinda Southworth)を理事、ウェイン・オズボーン(Wayne Osborne)を幹事としている。
オズボーンは、ペイジの巨大な資産帝国を管理するファミリーオフィス、クープ(Koop)のCEOであり、ビジネス投資からプライベートアイランドまで、幅広い資産を管理している。
財団の書類は、クープで長年税務管理補佐を行うクリスティーナ・ロサド(Cristina Rosado)によって認証されている。ペイジの投資や不動産への関与を曖昧にするためひねり出された膨大なLLCの文書中には、ロサドの署名が何度となく見られた。
一方、セルゲイ・ブリン・ファミリー財団の主要役員リストには3人の名前がある。理事兼会長として記載されているブリンのほかには、財務担当のタラ・ファンズワース(Tara Farnsworth)がいる。ファンズワースは、ブリンのファミリーオフィスであるベイショア・グローバル・マネジメント(Bayshore Global Management)で10年以上CFOを務めてきた人物だ。
ブリンの父親で、数学者を引退したマイケル・ブリン(Michael Brin)は秘書を務めている(3人とも週に2時間は財団の仕事に費やしていることが、文書類から分かる)。
財団はまた、政治コミュニケーション会社GMMBから年間400万ドル(約5億2000万円)、コンサルティング会社フリードマン・コンサルティング(Freedman Consulting)から148万ドル(1億9200万円)、科学顧問会社コーリション・フォー・アライニング・サイエンス(Coalition for Aligning Science)から117万ドル(約1億5200億円)、コンサルティング大手デロイト(Deloitte)から50万ドル(約6500万円)、慈善事業顧問会社オープンインパクト(Open Impact)から32万ドル(約4200万円)で、コンサルティング業務を請け負っている。
ブリンとペイジの慈善事業への寄付は広範囲に及んでいるものの、これらは両氏の純資産のごく一部にすぎない。フォーブスの推定では、ペイジは約830億ドル(約10兆8000億円)、ブリンは約800億ドル(約10兆4000億円)の資産を保有しているとみられる。上記のような慈善活動もまた、両氏の広大な個人領土の一部にすぎないのだ。
両氏とも、手広いファミリーオフィス(ベイショアとクープ)を運営して、住宅、ボート、熱帯の島々を管理し、非慈善的な投資を行い、責任を持って資本を管理し、補佐員、家政婦、清掃員、その他の職員を雇用および管理している。両者のファミリーオフィスの経営スタイルもまちまちだ。
世間に顔を見せるブリンと、なかなか姿を見せないペイジの対比は、慈善活動の些細な点にまで及んでいる。ブリンはセルゲイ・ブリン・ファミリー財団に直接寄付をしているが、ペイジのカール・ビクター・ペイジ記念財団への寄付は、フロリダLLC(Florida LLC)を通して行われている。
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