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概要:ソフトバンクグループ(SBG)は、傘下の投資ファンド「ビジョン・ファンド1(VF1)」に素晴らしい贈り物を届けつつある。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンドなども出資するVF1からSBGが最近、英半導体設計大手アームの株式25%を取得したが、その際のアームの評価額を640億ドルに設定したからだ。
[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(SBG)は、傘下の投資ファンド「ビジョン・ファンド1(VF1)」に素晴らしい贈り物を届けつつある。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンドなども出資するVF1からSBGが最近、英半導体設計大手アームの株式25%を取得したが、その際のアームの評価額を640億ドルに設定したからだ。
ソフトバンクグループ(SBG)は、傘下の投資ファンド「ビジョン・ファンド1(VF1)」に素晴らしい贈り物を届けつつある。
同時にこの動きは、VF1主体でのアームの新規株式公開(IPO)に対して投資家の信認が得られない実情をさらけ出し、全てのリスクをSBGの孫正義会長兼社長や株主らに移転させることを意味する。
SBGは2016年にアームを320億ドルの評価額で買収。翌17年にはアーム株の25%、82億ドル相当をVF1に移管した。つまり今回の取引は、SBGが当初の2倍の価値でVF1からアーム株を買い戻す形になる。
孫氏は、これでIPOに先立ってアームの企業価値に「下限」を設定できると期待しているかもしれない。アームの所有構造が簡素化され、アームのIPOに参加しようとする投資家が、VF1がいつか保有するアーム株を売却して値下がりにつながるのではないかと不安に思う気持ちを和らげてくれる可能性もある。
ただ取引がもたらした最も具体的な結果は、SBG株主によるVF1のリターン押し上げだ。事情に詳しい関係者の話では、今年3月時点でサウジやUAEの出資者にとってVF1からの内部収益率(IRR)はわずか4%程度だった。ところが孫氏がVF1からアーム株を当初の2倍の評価額で買い戻したため、VF1のIRRが実質的に幾分上昇しているのだ。
ではなぜそんなことをする必要があるのだろうか。アームの評価額が640億ドルであるなら、VF1が素直にIPOでアーム株を売却すれば済むと言えない理由はどこにあるのか。確かに17年のアーム株移管に際しては、投資リターンは当初価値の2倍を上限とするという条項が設定されていた、と英紙フィナンシャル・タイムズは伝えている。となると、VF1の出資者らは将来的にリターンの上振れは期待できない。それでも今回の取引からは、アームに640億ドルの価値があるとみなしてくれるのはSBGしかいない、とVF1が考えていることがうかがえる。
恐らくそれは本当だろう。640億ドルという評価額は、アームの3月末までの年度の売上高27億ドルの24倍。これほど高い倍率は、市場で大人気になっているエヌビディアやシノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズといった半導体銘柄の平均近くに相当し、アームの売上高が縮小している以上、バリュエーションとしては限界に達しているように見受けられる。
結局孫氏とSBG株主は、アームのIPOにおける評価額が640億ドル未満だった場合にその痛手を引き受けるということだ。またロイターの報道では、SBGは売り出すアーム株を全体の10%弱にとどめることも検討しており、IPOで調達できる金額は最終的にVF1に渡す金額を下回る可能性が出てくる。
こうしてみるとSBGによるアームのIPOとは、本来の投資主体が自ら責任を負う行動になってきている。
●背景となるニュース
*ソフトバンクグループ(SBG)は、傘下のビジョン・ファンドから英半導体設計大手アームの株式25%を取得した。ロイターが18日、事情に詳しい関係者の話として伝えた。アームの評価額は640億ドル。
*SBGは2016年にアームを買収した後、17年にアーム株25%をビジョン・ファンドに移管。この時点でのアーム評価額は買収の際の320億ドルと同じだった。
*アームの新規株式公開(IPO)を目指しているSBGは、株式売り出しの規模を当初予定より縮小する公算が大きい。最大90%は引き続きSBGが保有しそうで、資金調達額の当初想定の80億-100億ドルより少なくなるとみられる。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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